時効と連帯保証人に関するQ&A

Q連帯保証人も時効を援用できますか?

A

 連帯保証人には、主債務(連帯保証の対象となっている債務)および保証債務(連帯保証人の債務)のいずれに対しても、一定の要件を満たせば消滅時効の援用をすることができます。

 主債務、保証債務両方において消滅時効が完成している場合には、保証債務の消滅時効の援用をします。

 少額でも返済のための支払いをしてしまったなど、保証債務の時効が更新されてしまっていても、主債務の消滅時効が完成している場合には、主債務の消滅時効の援用をします。

 主債務が消滅すると、保証債務も消滅します。

 連帯保証人は、民法第145条により「当事者」として主債務の消滅時効を援用することができます。

Q主債務者が時効を援用すれば、連帯保証人の私は援用する必要はありませんか? 

A

 主債務者が消滅時効の援用をすると、主債務が消滅します。

 保証債務には、主債務に発生した効果が及ぶという性質(専門用語で「附従性」といいます)があるため、主債務が消滅すると保証債務も消滅します。

 そのため、主債務者が消滅時効を援用した際には、理論上は、連帯保証人は消滅時効の援用をする必要はありません。

 ただし、債権者から請求がなされることを防止するため、連帯保証人からも支払い義務がない旨の通知をしておくことをお勧めします。

Q主債務者が承認してしまったようなのですが、連帯保証人の私も援用できなくなったのでしょうか?

A

⑴ 主債務の消滅時効完成前に主債務者が承認した場合

 この場合には、連帯保証人も消滅時効の援用をすることはできません。

 主債務者が主債務の承認をしてしまうと、主債務の時効が更新されます。

 そして、主債務の時効更新の効果は、連帯保証人の保証債務にも及びます。

 民法457条第1項により「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる」と定められているためです。

⑵ 主債務の消滅時効完成後に主債務者が承認した場合

 この場合には、保証債務において消滅時効が完成している限り、連帯保証人は消滅時効の援用をすることができます。

 ⑴と異なり、消滅時効完成後に主債務の承認がなされても、主債務者が時効援用権を失うだけであり、保証人には影響がないためです。

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